手癖vsクリエイティビティ2

最近、自分のレッスンサイトでもブログを始めてみました。

そちらのブログは、一応はレッスンの生徒集め?に特化したような、練習などの具体的なアイデアを書いていくブログにしていきたいと思ってます。でも、あまり具体的に書きすぎると、それで練習が事足りてしまって逆にレッスンに誰も来なくなるかも……と思いながらも、ブログのスタイルが落ち着くまでちょこちょこ書いていこうと思ってます。

練習のネタというか、書きたい事はたくさんあるんですけど、色々となかなか追いつかないです。

 

という事で、こちらの本サイト?のブログは、もっと抽象的なコンセプトだったり、僕の思考回路的な事を書き記していきたいと思います。

最近、面白いライブがありました。

お世話になっている蓮根のATTICというお店のマスター井上さんからの紹介での、ギタリストの山口廣和さんとのデュオライブだったのですが、お互いの音楽制や考え方に近いものがあって、手前味噌ですが良い演奏が出来たのではないかな、と思ってます。

後ろに大仏様が映り込んでいたりしておりますが(笑)それは一旦置いておいて。

基本的にはお互いのオリジナルを持ち寄ってのライブでしたので、スタンダードはサウンドチェック時のこの曲と、アンコール時のAll The Things You Areしか演奏しなかったのですが、この日は良い感じにお互いがインスピレーションをもらって、クリエイティブな演奏が出来たと思ってます。

スタンダードをこんな感じでウォーキング主体ではない演奏が出来たのは自分にとっても嬉しかったです(動画内でウォーキングを弾いている時は、完全に「守って」います。ここをもっと安定感を持ちながらも攻められるようにならなければ)。

 

ライブが終わった後に帰路に着きながら考えていたのは、以前もブログで書いた手癖とクリエイティビティのバランスについて

何故この日は自分としても調子の良い感じで演奏出来たのか、考察してみました。

この日の演奏は、二人ともがECMが好きだったり、持ち寄った楽曲が所謂ジャズスタンダード的なものではなく、もっと構成に広がりがあったり、フリーな部分があったりと、クラシカルな要素があったりと、ジャズ・デュオ的なフォーマットでありながら演奏する曲は「どジャズ」ではない、というスタイルでした。

ベース・パートのヴォイシングも譜面に書かれていたりと、指定のパートも多かったり、ベースが「ベース」としての役割というよりは「低音部のカウンターポイント」的な役割(一般的にはそれがベースとも言えるんですけど、今回はコードを弾いたりと、一概にそうとも言えないので敢えてこの書き方で)を担っていたような演奏になりました。

 

ライブから少し時間が経って改めて思うのは、この日はお互いのアンサンブルのイメージの共有がスムーズに出来ていて、それがライブの成功に繋がったのかな、と。

目指す音のイメージが近いので、自分の弾きたい音も自然と無理せずに弾ける状況だったのかもしれませんね。勿論、手癖もたくさん弾いたと思いますけど、いつものライブよりも「よっしゃ、ここでこのフレーズを弾いたろ!」的な発想で演奏した瞬間が少なかったのだと思います。

それよりも、その瞬間のアンサンブルの中から自分の出したい音の具体的なイメージを楽器を通して具現化していった、という感覚の方が近いかもしれません。

 

上記の動画の演奏もそうですけど、この日は僕自身のフレーズのバランスも全体的に良かったのではないかな、と。ソロの音数も、これくらいでちょうど良い気がします。

こういう時って、頭で「これを弾こう、あれを弾こう」と考えている訳ではないので、湧き出てきた音のイメージをただ出している、という感じなんですよね。だからこそ、色々な意味でちょうど良い、自分で聞き返してみても納得のバランスになったのではないかな、と思います。

 

そんな訳で、自分にとっての演奏の理想的な形は、

「自分の出したい時に、出したい音を無理せず弾ける状態」

という事になるかもしれませんね。

僕にとっての出したい音の幅を拡げていくために、テクニックやコードの知識を深めていって、これからもソロの音使い等は研究していくつもりです。日々の練習は、それをいかに楽器で弾く際に具現化出来るか、というための練習ですね。

逆に、スラップは頭の中であまりイメージがないので、現時点では得意じゃないですけど(苦笑)。

 

以前のブログでも書いたように、手癖とクリエイティビティはお互いを補い合っている補完関係にあると思っているので、どちらが正しいという事でもないと思います。ですが、そういう意味では僕はクリエイティビティ優先型のベーシストになりたいのかもしれません。

 

音楽(特に即興性の高いジャズ)は、その瞬間毎の時間の流れに対しての音の流れを楽しむ時間芸術なんだな、という事を、この日の演奏で再認識しました。

こういうコンセプトは人によっても考え方が違うので、何が正解で何が間違いっていう事もないんですけどね。

今日のブログのいちばん最初に書いた通り、このサイトのブログは僕の頭の中、的な事を書いておりますので、僕がこんな事を思って演奏しているんだ、と思って頂ければと思います。

 

そして、イメージを音にしていくタイプのミュージシャンにとって、今更ですけどインプットを増やす事はとても大事ですね。

新しい音楽を聞くも良し、美術館に行ってみる、普段読まない本を読む、映画を見に行く、芸術だけに限らず、高い服を買ってみるとか、旅行に行く、恋人や友人とオシャレなカフェでランチ、等々、イメージにない事は音に出せない(=弾けない)ですからね。

 

という事で、最近やたらと変な曲ばかり書いておりましたが、原点回帰してもっとちゃんとECMを聞いて、綺麗な曲を作れるようになりたいな。

 

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Oceanus / Ralph Towner

Noriaki Hosoya

Born in Japan, studied at Berklee College of Music Boston, U.S. and has been active in Europe, now lives in Tokyo, Japan.


Playing Jazz to Funk, Pop to Latin, elastically fit with any kind of music with keeping his identity as a bass player.


"His playing is very sophisticated; solid & tight and really melodic at the same time. He lets the bass singing"

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